初めての買い物

アメリカに住んでいると、子供たちだけで店に入ってものを買うという経験はなかなかさせてやれない。

娘は、そろそろぼんやりとお金の価値に気づき、ドルやつり銭などの計算の仕方もわかってきているので、何かとあるとお小遣いを使ってみたりしたいようだ。

そんな彼女が学校で、学校の近くにあるDavis Art Centerにて、12月最初の週末、クリスマスギフト向けのクラフト・ショー(ちょっとその辺のお店では売っていないような、手作りの工芸・手芸品・お菓子などの出店を集める企画)があり、そこで子どもたちだけでクリスマスギフトを買い物できるコーナーを設けているという話を聞いてきた。絶対に行きたいのだという。

息子には早いかとも思ったが、お姉ちゃんが行くとなると自分もいきたいという。

そこで二人を連れて土曜日の日の暮れかけた時刻に行ってみた。

Davis Art Centerというところは、普段はバレエやお絵かき、織物などの子ども向け及び成人向けクラスを開講している場所。公園の一角に位置している。市の公共の施設ではないが、雰囲気としては公民館といったところである。

公園の駐車場に入ってみると案の定混んでいたが、すぐに駐車することはできた。

建物の中に入ると人がいっぱいで熱気がむんむん。

子どもたち専用のクリスマス・ギフトショップの場所はすぐにわかった。

説明を読むと、子どもたちが買い物をする時間は45分ぐらいみてくれと書いてある。そして、親はこの建物から出てはいけない。買い物の仕方は、まず、買い物をする前に、指定の封筒に子どもの名前と、親の携帯の番号、そして使う予定の金額を書き入れ、その中に現金を入れる。

さらに、贈る人の名前を、差出人の自分の名前とともに全部シールに書き出しておく。

準備ができたら、店内に入れる。小さい子どもたちには、買い物を手伝ってくれる人が終始付き添ってくれるので安心だ。

結局娘は、弟と、偶然会った日本人の、弟のお友達とともに、店に入っていった。

この店で売っているものは一ドルから六ドルまでの値段のものしかない。娘は自分のお小遣い9ドルで、6人分のプレゼントを買う計画だ。息子にはまだお小遣いがないので5ドル渡してやった。パパとママに買ってくれるそうだ。ちなみに娘は、ママには何か作ったものをもう用意したから、ママはリストには入っていなかった。

しばらく親同士はそのあたりの店をひやかしてまわった。去年だったか、私一人で見に来たときには、大変おいしい手作りアーモンドキャラメルバーを試食できたのだが、今年は売りに出ていないようだった。残念。

40分ぐらいして見に行ってみるとまだ買い物が終わってはいないようだった。買い物が終わって待っている子どもの名前は、メッセージボードに書き出されるはずだが、まだ出ていない。

店の脇にいすが並べてあったので、そこに座っておしゃべりをしていたら、しばらくして店の人が「あなた、子ども三人いる?」と聞いてきた。どうやら買い物が無事おわったらしい。

娘は結局お父さんへのいいプレゼントが見つからなかったと残念そうだったが、それ以外の人へのプレゼントは買ったという。お金は使い切った。息子も親へのプレゼントを無事見つけられたそうだ。彼は一ドルあまっていた。一生懸命買い物をしたようで、なんとなく興奮しているようすだった。

家に帰ったら、早速クリスマスツリーの下にプレゼントを並べていた。

娘は家族以外には仲のよい友達、ピアノの先生、そして担任の先生に買っていたようだ。

それぞれ、いったい何を選んだんだろう。ちょっと楽しみだ。