仕掛けられた罠

金曜日の放課後は、娘はピアノのレッスンがある。私も付き添わなければいけないので、息子には何か、塗り絵とか、迷路とか、お絵かきとか、その時熱中しそうなものを用意して一緒に出かけていく。

そうやって少し別々の活動をした後は、この二人、妙に仲が良かったりする。

この日は、学校からの帰宅直後には余りにくだらないことで喧嘩をしていたので、丁寧に仲裁するとか、双方の言い分をよく聞くとか、そういうレベルで付き合う必要はないと判断し(というか判断する前に)、叱り付けてしまった。

自分たちでも納得したらしく、ピアノに行く時も、そこから帰るときも、二人は妙に仲良くしていた。

そしてレッスンが終わって家に到着してから、テレビを見るともおなかすいたともなんともいわず、二人でなんだか忙しそうにしている。

紙に何か書いている。長さがどうとか言っているが・・・?

息子が質問に来る。「あのね、おかーさーん、おとーさんってどれぐらいの大きさ?」

「背の高さがどれぐらいかってこと?175cmぐらいじゃなかったかな。ママより頭一つ分ぐらい大きいんじゃないの」

「それってどれぐらい?(台所に張ってあるジンジャーブレッドの絵の高さより)もっと大きい?」

おねーちゃんが巻尺を探しに来る。

それからも二人でごちゃごちゃごちゃごちゃ。

「もう、おとーさんかえってきちゃうよー」

何か、夫にいたずらをしようとしているのは明白。

でも、何なんだろう。

覗いてみると、帰宅してガレージから入ってくるドアのマットのところに、下のような紙。

そしてその先にはクッションと、M宅から譲り受けた巨大犬のぬいぐるみ(確か、キキと名づけられていた)などが置かれている。

ドアのところには、糸が低い位置に張ってあり、更にマットの下には、プラスチック製の細い棒がきれいに並べられていた。糸に手をかけてマットに足を置くと、棒の上でおとーさんはすってんころりんと滑って頭を打つのではないか、と考えたようだ。

ただ、本当に直接床に頭を打ってはかわいそうなので、クッションやらやわらかいぬいぐるみをならべた。

そして、そのクッションを並べるべき長さを、夫の身長と同じ長さにしたというわけ。

なぜなら、クッションの上を歩きながら転ぶかもしれないから。

後で聞くと、ビー玉をばら撒いておくという案もあったらしい。

それは本当に危ないよ。

でも、一生懸命考えて、クッションをひいたら大丈夫だろうと思ったわけだ。

罠にしてもかわいらしい。

実際に夫が帰ってきても、全く転ばなかったのでちょっとがっかりしていたかも。

それにしてもよく色々考えるものです。

その後、「あきらー、思うようにいかなかったねえ? なんでだろう??」と、反省会も行われたようです。